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  風の丘 拡大表示
Date: 2009-12-19 (Sat)
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  創作小説 byしろうさぎ
Date: 2009-12-18 (Fri)
----- 風の丘 1 / 2 -----

 ふわりと揺れて、風がきた。
無造作に下げたレースのカーテンは、淡い菜の花色だ。
 朝、目覚めると家中の窓を開けるのが、岡田朝子の習慣になっている。五月の朝にしては強すぎる陽射しに戸惑った。
 居間のテーブルの上にはビールの缶やワインのビン、食べ残しのつまみが散乱している。小さな居間に置くには邪魔なくらい大きなテーブルだ。
 昨日、いつもの仲間が来て夜中まで騒いでいた。朝方まで飲んで酔いつぶれた男二人が、奥の部屋で軽い寝息を立てている。
 ―― こんなところ、誠には見せられないな。
 わずかな後ろめたさに首をすくめた。
 夫の誠は、シニアボランティアに応募して去年の春、ブータンに行った。夫のいない生活が一年を過ぎた。
 もともとシニアボランティアを希望していたのは朝子だった。資料を取り寄せ、説明会に行って準備を進めていた。朝子には持病があって薬が欠かせない。治療中の人は困難であるらしい。それもあるのだが、ボランティアの条件はかなり厳しい。そのハードルの高さにあきらめざるを得なかった。
「朝子が行かないなら、おれ、行ってくるわ」
 興味などまったくない素振りだった誠は手続きをし、研修を受けると勝手に行ってしまった。大切なものを横取りされたようで、素直に送り出せなかった。
 誠は、定年まで二年を残して退職した。
「会社、辞めるって、簡単に言わないでよ」
 朝子は、ほとんど相談もせず退職した誠に腹が立った。ボランティアは二年の契約だ。

 朝子のマイホームは、緑ヶ丘の小高い丘の中腹にある。雄阿寒岳や雌阿寒岳に斜里岳、よく晴れた日には羅臼岳まで見えるのが気に入って土地を購入し、家を建てた。建てて一五年になるが、まだ住宅ローンが残っている。
 朝子は週五日、午前九時から午後三時まで障害者施設で働いている。誠はこの三月、ブータンへ行った。誠がいなくなって仕事は辞めようかとも思ったが、続けていた。夫がいないと、一日がすべて自分の自由な時間になる。弁当を作ることもなく、帰りを待たなくても良い。夫のためにたくさんの時間を費やしていたのだと思った。
―― まったくもう、勝手なんだから。いっそ帰ってこなきゃいいんだわ。
 夫がいなくなると、腹の虫がどんどん成長してきた。うきうきするはずの春なのに、ため息ばかり出る。どうしようもない感情をもてあましていた。
「朝子、ご主人、海外に行ったんだって?」
 慶子から電話がきた。
「そうなのよ。仕事辞めてまで、行きたかったのかしらねえ……」
「智子と遊びに行ってもいい?」
「来て、来て。愚痴、聞いてちょうだい」
 翌日、慶子と智子がやって来た。夫がいなくなった朝子の家は、友人のたまり場になった。
「誠さんって、そんな行動力のある人だった?」
「ぜーえんぜん。」
「突然会社やめたりして、仕事のことでなにかあったの?」
 慶子と智子は、矢継ぎ早に質問を浴びせる。
誠はインフラ整備の会社に勤め、部下を三〇人ほど持っていた。
「なにも話は聞いていないし、わたしのすることにも関心のない人だったから、驚いているの」
「ボランティアに逃げた、とか……」
「へえー。考えてもみなかったなあ」
 朝子の脳裏を不安がよぎったが、腹の虫が治まっていなかったのでそれ以上考えられない。
誠の心の傷が深いところでジクジク膿んでいることに、朝子は気づいていない。

 朝子の住む町は盆地になっていて、周囲は山で囲まれている。朝子が生まれた南ヶ丘は、緑ヶ丘と同じくらいの高さで、ちょうど向かい合わせになっている。
その南ヶ丘には朝子の育った家が、いまは住む人もなく少し傾いて残っている。一三年前に父が、七年前に母が他界した。人が住まなくなった家はどんどん朽ちていく。
結婚してから朝子は、父と母のところへ月に二、三度行っていた。高齢になり、体力が衰えてからは頻繁に通ったが、それは義務感からだった。もっとやさしく心をこめて看てあげようと思うこともあったが、朝子たちの親子関係は非常に淡白だった。両親が亡くなると、寂しさよりも看取った安堵感のほうが強く、家のことなど気にもとめなかった。
エゾハルゼミが鳴く季節がやって来た。朝子は子どものころから、初夏の訪れを告げるこのセミの声が大好きだった。ふと、南ヶ丘の家に行ってみようと思った。
市道から家までの道は、雑草で覆われていた。車を道路わきに止め、持ってきた鎌で、腰まである草を刈りながら汗だくになり、やっと家にたどり着いた。
帽子と軍手と長靴、首にはタオルを巻き、完全防備をして入り口の戸を開けた。なにが出てくるかと、心臓が高鳴る。ひとりで来たことを後悔した。恐る恐る中に入ると案外きれいで、七年の歳月が経ったとは思えなかった。
「ここで、暮らしてみようかな」
 あんなに嫌いだったこの家に戻ってみようと、セミの声を聞きながら、朝子は思った。

誠がいないあいだ、自分の匂いがどこかに残っている実家に住むことにした朝子は、準備を始めた。
 六月に入って最初の日曜日、慶子をはじめ五人の仲間が手伝いに来てくれた。
「この戸、簡単に壊せるよな。泥棒、入るかもなあ」
「こんな隙間あったら、蛇やねずみも入ってくるしょ」
 農業を息子夫婦にまかせ、気楽に暮らす敏と謙一が、にわか大工になって、あちこち直してくれる。
 家の周りの雑草は、草刈機であっという間に刈り取られた。スコップでおこせば小さな花壇や、食べる野菜くらいは作れそうだ。
 家の中は、センスの良さにかけて、自他共に認める智子が中心になり、慶子や朝子が持ってきた小物を飾っていく。必要最小限にとどめたので、小さな居間だが広々としていた。
 居間の少し大きな窓に、智子が作ったレースのカーテンを下げた。家具店で買ったレース地に、智子が編んだ蝶のモチーフが付けられている。智子の家に掛けられていたカーテンだ。朝子が気に入っていたのを覚えていて、プレゼントしてくれたのだった。
 朝子の大好きな菜の花色のカーテンは、さみしい居間を明るくした。
 煤けてしみのある板壁に、カレンダーを貼った。田園風景や動物、外国の街並など、なかなか趣があって楽しい。子どものころに使っていた蚊帳を壁に下げると、素敵な空間が出来た。手染めの大きなスカーフをタペストリーにして飾ってみる。四時と八時の文字の辺りに、穴の開いたぜんまい仕掛けの柱時計を、昔かかっていた場所にかけた。今はもう動かない。
 智子はまるで、自分の部屋を作っているように生き生きと輝いていた。
昼食を終えると出かけて行った輝(ひかる)が、小型トラックに乗り換えてやって来た。
「ちょっと、手伝ってくれない」
 車から降りて手招きをする。敏と謙一が出て行き、大きなテーブルとソファーが運び込まれた。
「随分大きなテーブルね」
 大きすぎると朝子は思った。
「ちょっと邪魔じゃない?」
「いや、これくらいがいいんだよ」
 輝は居間の真ん中に置いた。
「わたし、ひとりなんだけど……」
「いいんだ、いいんだ」
 朝子は、できるだけ昔のような生活をしたいと思っていた。親切なのかお節介なのか。しかし、輝の好意を無にするわけにはいかないと、素直に喜んだ。
 このテーブルが、輝にとって、とても大切なものだとは想像もしなかった
 人が住める家らしくなったころ、六月の太陽は山の稜線に隠れようとしていた。
「よし、おれたちのおんぼろ別荘の出来上がりだ」
 男三人が顔を見合わせて笑った。
「いま、なんて言ったの?」
「おれたちの、別荘」
「冗談でしょう?」
 女三人は、あきれて顔を見合わせた。
「時々、ここに来て遊ぼうや」
 三人は、少年の顔で笑う。
―― まっ、いいっか。
 それもいいかと、朝子は思った。

 朝子は仕事の都合もあり、週末だけ南ヶ丘の家に行くことに決めた。
 この一週間、朝子は自分の背丈ほどもある板に字を彫っていた。「風花(かざはな)」の文字が浮き上がり、なかなか良い出来栄えである。「別荘」とした家に立てかけようと思いついたのだった。
 土曜の午後、看板を持って出かけた。四月に逆戻りしたかのように寒い。オホーツク海を覆う高気圧の勢力が強いと、晴れていても気温が低い。
 急勾配の坂道を上り、ルピナスやマーガレットが咲く「別荘」へ向かった。三週間前には雑草で覆われていたのに、人の手を入れることで、驚くほどきれいになった。
 母は花が好きで、庭は季節の花であふれていた。母がいなくなっても、ルピナスとマーガレットは生き続けていたようだ。
 家に着いて、また驚いた。雑草の根が残って荒れ果てた土地だったのに、生き生きとした黒い土に変わっていたのだ。パンジーやマリーゴールド、ペチニアが植えられ、いく筋も畝が延びている。
 ほどなくして敏が軽トラックでやって来た。
「どうだい。見違えたしょ」
「こんなにきれいにしてくれて、ありがとう。大変だったでしょう」
「いやあ、トラクターでやったから、おれは大変じゃないさ」
 トラクターをここまで運んでくるのでさえ大変なのに、こともなげに敏は言った。
 土の盛り上がりは、思っていたとおりジャガイモだった。
「植える時期はちょっと遅いけど、秋までには食べられるようになるから」
朝子は薄紫色のジャガイモの花がとても好きだ。色も香りも気持ちをやさしくしてくれる。食べるのはもっと好きだ。
「今日は、トマトとナスの苗を持ってきたよ」
 敏は堆肥を混ぜながら、手際よく植えていく。さすがプロと朝子は手伝いもせず、敏の手元を眺めていた。
「ふうか、か。いい名前つけたんでしょ」
「ふうか、じゃないよ。かざはな、って読むの」
 敏は車から金槌と釘を持ってきて、玄関の脇に打ちつけた。
「なかなか味があるねえ。別荘風になってきたんでない」
 敏は腕組みして満足げに見ている。
「今日は寒いから、家に帰るわ」
「そうかあ。ストーブがないと暮らせないか」
 帰ろうとしていたら、輝がやって来た。
「やあ、いて良かった。蒲団、持ってきたんだ」
 いつでも泊まれるように準備をしておくのだと言う。
「こうなったら、鍵、みんなの分を作らなきゃね」
「そうしてもらえるとありがたい」
 朝子より敏や輝のほうが楽しんでいるように思える。
―― まっ、いいっか。
 流れにまかせようと朝子は思った。

 次の日も寒かった。「別荘・風花」に行こうか迷っていると、電話が鳴った。
「これからストーブをつけに行こうと思っているんだけど、行かないかい?」
 謙一からだった。
昔使っていたという薪ストーブは、手入れが行き届いていてすぐに使えた。煙突を集合煙突にはめ込み、持ってきた薪に火をつけた。
「いいねえ。もう何十年も見てない」
 マッチの匂い、新聞紙とガンビ(樺の樹皮)の燃える匂い、懐かしくて涙が出そうになった。貧しかった子どものころを思い出して、鼻の奥がツンとした。
「朝子、電話しても出ないから、ここかと思って、来たよ」
 慶子と智子が一緒にやって来た。
「玄関の、風花って、いいねえ」
 慶子は手彫りの看板を気に入ってくれた。
「風花って、初冬の晴れた日に、雪がちらちら降ることをいうのよね」
 気になっていたことを、智子も感じたようだ。
「季節が冬で気になるけど、語感がいいでしょう」
 なんだかわかると、慶子と智子がうなずいた。
 二人は居間の隅に置かれたストーブに目をとめた。
薪の温もりに包まれて昔話が始まった。「貧しかった」のはみな同じで、悲しいことでも辛いことでもなかった。それはどん底の貧しさではなかったからなのだろう。慶子が持ってきた弁当を食べながら、話は尽きない。
薪が燃えて灰になったころ、敏と輝が次々とやって来た。敏が謙一に、ストーブの話をしてくれたのだった。同じ時代を生きてきた者同士の、やすらぎがそこにあった。
家族や職場のつながりとも違う朝子たちの「別荘・風花」に、ひとつの協同体がうまれ、彼らの棲家になった。

小鳥の声で目が覚めた。雛が巣立つこの時期、森はにぎやかになる。上手になりすぎたウグイスの声があたりに響き渡っている。開け放った窓から、森の香りがヒュルリとしのびこんでくる。この朝の空気がたまらない。六月の朝はことさら爽やかである。樹木には若い葉が出揃い、ぷるぷる風に揺れる。森の精気が、朝子の体をめぐる。幸せを感じるのはこんなささやかなことなのかもしれないと、朝子は思った。
ほどよく焼けたトーストに、朝子手作りのイチゴジャムをたっぷりのせて、がぶりと口に入れる。酸味と甘味が口の中にひろがった。
コーヒーを飲みながら、二日前に届いた誠からの手紙を読み返した。上手とはいえない夫の字が懐かしかった。慣れない生活に戸惑っていることや、初めて体験するボランティア活動の真意、体調のことが簡単に書いてあり、元気でいるので心配しないようにと結んである。
突然会社を辞めた理由や、ボランティアに応募した動機はなにひとつ書いていない。朝子は、智子が言った「ボランティアに逃げた」、という言葉が心にかかっている。
朝子と誠が知り合って、かれこれ四〇年になる。誠は無口で、必要なこともあまり言わない。子どものころは陽気な子だったと、誠の両親は言っていた。
二人の子どもが自立して家を出てからは、ますます会話がなくなった。話しかけても「うん」、「いや」、「わかった」くらいの返事が返ってくるだけで会話が成立しない。
―― 話しても、どうせ聞いていないのだから……。
けんかするわけではないが、つまらない生活だと思う。同じ家で生活をしているのに他人のようだ。
―― なに、考えているのだろう。
物憂げな夫の様子に朝子は投げやりになる。そんな生活に嫌気がさしていた。離婚したいわけではない。しかし、このままでは先が見えない。不純な動機ではあったが、シニアボランティアとして海外へ行こうと思ったのだ。誠も同じ気持ちなのかとさみしくなった。
夫婦のあいだにも埋めることのできない溝や、話せない過去があるのだろうか。誠のことを思うと心が沈む。そんな朝子の心を、この森の空気がさらりと洗ってくれる。ここに住むことにして良かったと思った。

朝子が働いている福祉施設は、おもに知的に障害を持った人が通う。仕事とは別に、精神に障害を持った人が就労する福祉施設で、毎週土曜日にボランティア活動をしている。同じくこの世に生を受けながら、障害のある人とそうでない人がどこで分けられてしまうのだろう。
「まともに働いて結婚もしたいけど、こんな病気じゃ無理だし」
 そう言っていた統合失調症の男性がいた。人とのコミュニケーションをとるのが難しいと嘆く。彼らを受け入れる職場は少ない。ゆったりと自分の世界で生きている人も多いが、病気に傷ついている人もまた、数多くいる。
朝子は不満の多い自分が恥ずかしいと思う。結婚をして子どもを育て、健康で半世紀を生きてきた。それで十分ではないか。衣・食・住こと足りて、これ以上なにを望もうとするのか。彼らとかかわってたくさん感じたはずなのに、それでも欲や不満が鬱積している。業の強さを恥じた。情けないとため息をつく。
昨日、仕事が終わって自転車で風花にやって来た。土曜日の今日はボランティアがある。刺すような陽射しが真夏のようだ。吹く風や草木の匂いが心地よい。急勾配の坂道を一気に下る。懐かしい青春の日々がよみがえった。
夜には、施設のビールパーティがある。朝子はアルコール類が苦手だ。いくら飲んでも酔わない敏を誘った。敏には、慶子や智子以上の友情を感じている。表現がストレートで嫌味がなく、妙な安心感がある。何事にも臆することなくいつも堂々としている。大地に根を下ろす大木のような人だ。朝子は、そんな敏を誠とは違った意味で尊敬している。
会場は、人であふれていた。
「おれたちの町に、どれくらいの人がいるのかなあ」
 四杯目のビールを口に運びながら敏はつぶやいた。障害者といわれる人が何人いるのか、朝子にもわからない。仕事でかかわるようになって、少なくはないということがわかった。親子や夫婦、友人に仕事仲間、健常者も障害者も、助け合い支えあっていくことができるのが、人間社会なのだろう。

 昨夜、遅くまで夜の街を遊んでいたので目覚めが悪い。
緑ヶ丘の家はオール電化で換気システムも整っていて、快適な住まいだ。お風呂やトイレ、キッチンは朝子の手入れが行き届き、気持ちが良い。狭い庭には花が形よく植えられ、色であふれている。遠くには斜里岳が雄雄しくそびえている。せみや小鳥の声が聞こえ、のどかだ。
しかし、風花とはなにかが違う。
―― 風かな……。
と朝子は思った。車の交通量や家が多い緑ヶ丘には、森の香りがしない。都会の風が吹いている。快適な暮らしをするために、素朴ななにかが失われた。風花は不便だが心が癒され、素直な自分に戻れる。
掃除と買い物を済ませると、自転車で風花に向かった。学生のころにはこの坂を一気に上がっていけたのに、いまの朝子は押しながらでも息がきれる。
持ってきたターシャ・テューダの本をめくりながら、午後のひと時をまどろむ。小鳥の声や風に揺れる木の葉の音がBGMになって、とても気持ちが良い。朝子の体から疲れがスルリ、スルリと抜けていく。
六月の夕暮れは遅く、六時になってもまだ太陽は強い陽射しで照りつけている。
朝子は掃除をしようとテーブルを壁に立てかけ、息を呑んだ。輝が持ち込んだ大きなテーブルの裏には、彫刻した一枚の板がはめ込まれていたのだ。草原に立つ少女の髪が風に揺れ、遠くに二頭の馬が草を食んでいる。ススキの穂も風に揺れ、少女の手にリンドウの花が美しい。少女の赤い唇と、青いリンドウの花だけに色がつけられて、木目のなかで輝いている。片隅に「夕霧に立つ少女」と刻まれている。幻想的で、まるで水彩画のようなその彫刻に見入っ


  創作小説 byしろうさぎ
Date: 2009-12-18 (Fri)
----- 風の丘 2 / 2 (つづき)-----

た。
涙が、朝子の頬を伝う。
輝は以前、オホーツク美術展に出品して賞をとったことがあった。朝子は観に行かなかったが、これがそのときの作品なのだろう。掃除を忘れ、座り込んで彫刻を見つめていた。
玄関の開く音がした。輝だった。あわてて涙を拭いた。
「やっと気づいてくれたね」
 ふたりはあいさつもせず、彫刻を見ていた。朝子の涙に気づいた輝は、窓辺に寄って花壇に視線を移した。
「それ、朝子」
 輝の強い視線を感じた。
「うん、そう思った。昔のわたしだもの」
「雨上がりの夕暮れには、よく、霧が出ていたものね」
 中学校で知り合って高校も同じだったが、クラスが一緒になったことはなかった。輝が朝子に好意を持っていることは、わかっていた。朝子も、輝を大切な友人として向き合っていた。学校の帰りが遅くなると、輝は朝子を送ってよくこの丘に来た。
「この木のバランス、絶妙ねえ」
 朝子は、気まずい雰囲気におびえて話題をかえた。
「木を選ぶのに、半年かかったよ」
 空や霧の中の山々はエゾマツやホオノキ、センノキ・カツラなど白っぽく明るい木を使っている。霧の雰囲気を出すのにカバやハルニレの瘤を取り入れている。大地と草原や少女の部分には、濃い色をしたキハダやナラ、エンジュ・イチイが並ぶ。それぞれの木をのりで接着してプレスし、一枚の板に仕上げてある。
「遠軽の木工場まで行って、作ってもらったんだよ」
 彫刻するのにふさわしい材質を選び、イメージする絵に配置するのが難しかった、と輝は言う。
 仕上がった集成材に絵を描き、彫り上げるのに一年かけた。
「心をこめたから、すごく満足している。賞ももらったけど、僕の宝物かなあ」
 男にしては細い指で、彫刻のなかの朝子に触れた。朝子の鼓動が輝に聞こえるのではないかと、膝を抱えた。
輝の瞳は、少年のころに見たひたむきな輝きがあった。その輝きに呑込まれそうになって朝子は、次の言葉をさがした。
「木によって、こんなに色が違うなんて、知らなかったわ」
「磨けばツヤも出るし、あのころより色が馴染んだ気がする」
 近くの布を持つと、器用な手つきで拭き始めた。
「じつはね、ちょっと、仕掛をしてあるんだ」
 輝は「夕霧に立つ少女」と刻まれた部分の、上下にあるつまみを持つと、細かく揺らしながらゆっくりと引いた。長方形の板が抜かれ、その裏には「朝子へ」と彫ってあった。
「どう? 凝ってるしょ」
 戸惑いを隠せない。輝の遊び心とはわかるが、涙を見られてしまったぶん、ずっしりと重さを感じた。賞をとった大切な作品をこんなところに置いてよいのかと、うれしさより不安になる。ビリビリ、チクチク体がしびれて、その場を離れることができない。
 輝の温かな心と体温が、朝子を包んだ。
 ドロノキの葉が夕風を受け、パラパラと大きな音をたてた。

七月になった。一年中で一番開放的な気分になる季節がやってきた。
風花の周りもずいぶん様変わりした。敏と謙一が蒔いたローズマリーやバジル、レモンバーム・チヤイブ・ミントが芽を出し、小松菜・ほうれん草・ラディッシュ・いんげん豆・枝豆など、たくさんの野菜が力強く伸びている。耕した畑に雑草が芽を出し、存在感のある色をして野菜より誇らしげだ。黒い土がほとんど緑色に変わって、温かく幸せな気持ちに、体がとろりと溶けそうだ。
「雑草も残しておいたほうが、病気や虫食いが少なくなるよ」
 農業のプロが言うのだから、信じていいのだろう。もっとも、朝子には草取りをする時間がない。堆肥を入れた畑の作物は、十分な栄養が行き渡っているらしく、どれも元気だ。有機栽培というのがとても気に入っている。
「こんな野菜を食べたら、元気いっぱいになるわね」
 朝子は子どものようにぴょんぴょん跳ねた。心なしか気持ちも若返ってくるようだ。
 北海道には梅雨がないといわれているが、ここ数年、本州の梅雨が終わるころ、しとしとと雨の降る日が続く。一週間ほど湿っぽい日があって久し振りに晴れたかと思うと、気温がぐんぐん上がって三〇度になった。
 今日は入院していた保子の退院祝いをすることになり、それぞれの夫や妻を連れて集まった。
慶子と智子、保子に朝子は高校で知り合い、進学や結婚で交流が途絶えた時期もあったが、もう二〇年近く助け合って暮らしている。
保子は循環器系に異常がみつかり、一ヶ月ほど入院していた。全快したわけではないが、保子が加わると雰囲気が一段と明るくなる。センスの良いジョークが笑いを誘う。
「話を聞いて、一度来てみたいと思っていたんだ」
 慶子の夫、哲(あきら)が珍しいものを見るように、辺りを見回している。
「子どものころに戻ったようでしょう?」
「いやいや、あのころはもっともっと、オンボロ生活だったよ」
 当然といえば当然なのだが、つぎが当てられた服を着ている人はいないし、車があり、物置代わりに大きな冷蔵庫が玄関の脇に置いてある。貧乏くささはどこにもない。古い家もレトロな感じで、見ようによっては素敵に見えなくもない。
 男たちが炭をおこし、焼き肉の準備を始めた。朝子たち女は、家の中でおしゃべりをしてくつろいでいる。敏と謙一の妻たちが、畑からラディッシュと一五センチほどに伸びたほうれん草、それとハーブのベビーリーフをかかえて入ってきた。
「新鮮な野菜を食べて、早く元気になってくださいね」
「ありがとう。陽の光をたくさん浴びて大きくなった野菜だもの、わたしの悪いところもきっと良くなるね」
 入院してすっかり色白になった保子は、チャームポイントのえくぼを見せて笑った。
「保子、しばらくここに住んだら?」
 マイナスイオンたっぷりのこの森の中で暮らしたら心身が洗われて、もとのきれいな体に戻れそうな気がする。
「いいかもね。でも、ちょっとさみしすぎない?」
 何日も続けて泊まるには不便な風花である。水は出るが、風呂は使いたくない状態だし、トイレは水洗ではない。
 保子の夫が家に入ってきた。
「肉、焼けたよ。みんな、外に出ておいで」
「勝さん、保子とここに住まない?」
「ここにかい? 駄目、駄目。駄目だよ」
 駄目を連発して出て行った。朝子にとっては懐かしく心やすまる場所だが、不便であることも事実だ。
 サラダやおにぎりを持って外に出た。湿度のある暑さにむせ返る。木陰にレジャーシートを敷いて、真昼の宴が始まった。
 男たちはタオルでねじり鉢巻をし、シャツの袖を肩までたくし上げ、汗を拭きながら炭で肉やホタテ、イカ・ホッケの開きなどを焼いている。陽焼けが気になる朝子には考えられない光景である。日焼け止めクリームをたっぷり塗り、帽子をかぶって長袖のシャツを着ても陽に焼けそうで怖い。しみや皺の最大の原因は紫外線だと知り、気をつけている。若くはない年代の集まりなのだが、男と女の違いに、いまさらのように驚いてしまう。
 朝子たちは戦後の、物資が乏しい時代に生まれた。
「こんな肉や魚、めったに食べられなかったよねえ」
「つぎの当たっていない服を着ることのほうが、少なかったしね」
「ご飯と味噌汁と漬物だけ、そんな食事も多かったなあ」
貧乏自慢が始まる。自分はどれだけ貧しかったかを話すのだ。もう何度も聞いているのだが、盛り上がる。
「わたしの兄ちゃんなんか肥溜めに落ちて、臭くて、臭くて、一週間くらい臭(にお)い、とれなかったんだから」
「そうそう、あのころは肥料に、人糞を使っていたものね」
 農家に生まれた人が多く、似たような生活を経験していた。それでも、戦後に生まれたことと農家だったためか、食べ物がなくてひもじい思いをした記憶はない。
 朝子たちの世代は、変化に富んだ時代を生きてきた。戦後の貧しい生活と、高度成長やバブル期の豊かな時代を経験した。時代はどんどん進化している。IT産業が発達して、その文明に取り残されそうで不安になる。自慢の元気な体だけでは安心できない。脳も健康でないと、社会からはじき出されそうだ。それでも、団塊パワーでなんとか乗り切るしたたかさを兼ね備えているのも、この世代の特徴かもしれない。
 なるほど、みんな元気だ。病み上がりで食の細い保子以外は、よく食べる。森の空気も一役かっているのかもしれない。
 頭上でギャッと声がした。長い足と大きな翼のアオサギが飛んで行った。この辺りにコロニーがあるらしく、時どき姿を見かける。時計がもう、六時をさしていた。後片付けを済ませるとひとり、またひとりと帰って行き、静かな時間が夕闇の中にとけていった。
 
朝子は南ヶ丘に来るようになって、山野草の素朴で控えめな美しさに心を奪われた。隠し場所を忘れた宝物が見つかったようなうれしさだ。
五月に刈り取った雑草は新しい芽を出し、元気よく伸びている。どれも、子どものころ見かけた草花ばかりだ。邪魔な草として見ていたあのころは、美しいなどとは思わなかった。
―― 馬が喜んで食べたのはどの草だったろう。羊をつないでいたのはこの辺りかなあ……。
と、懐古しながら花を探して歩いた。こんなにきれいな花が咲いていたのかと、驚くばかりである。
野草の名前を覚えると、たまらなく好きになった。朝子の周りにある山野草は、朝子が生まれるずっと前からここに咲き続けていたのだろう。
道端や家の周りに咲く野の花を摘み、居間に飾って楽しむことにした。花器は花瓶だったり食器やバケツだったりする。大きな盛り皿に剣山を三、四個置き、クサフジやアカツメクサ、カラフトホソバハコベ・オクノカンスゲ・シャクを生ける。ツリガネニンジンやシロバナシナガワハギ、ホザキシモツケ・ヨツバヒヨドリ・ヤマブキショウマなどの大きな花は、ダイナミックにバケツに生ける。
高さのあるコップを三個並べ、ノラニンジンとヒメジョオン、ムラサキウマゴヤシやエノコログサをバランスよく生けると、天才華道家になったような気分になる。楚々とした美しさに酔いしれる。池坊や小原流・草月流の作品展覧会で見たどの花より、美しいと思ってしまう。
お気に入りのマグカップに、ナガホノシロワレモコウとアキノキリンソウを挿して、テーブルの真ん中に置いた。ラジオからショパンの曲が流れている。
B5版の用紙を取り出すと写生を始めた。朝子は決して絵も文字も上手ではない。けれど、手紙を出すときは便箋にこのB5版の用紙を使うことにしている。庭の花や街路樹をスケッチしたり、走り回るエゾリスを思い出しながら描いたりする。これが結構好評なのである。
野の花をていねいにスケッチして色をつけ、遠くで暮らす友だちに送ろう。きっと楽しい返事が返ってくるだろう。
赤く色づいたトンボが、ツユクサに羽を休める。静かな森は秋の訪れを告げていた。

十月、針葉樹と広葉樹が混在する森は、鮮やかなコントラストを見せて輝き出す。風花の近くに巣を作っているエゾリスが、冬篭りの準備に忙しく走り回っている。今年はミズナラのどんぐりがたくさん実を付けた。朝子はあきもせず、エゾリスの様子をながめている。春のころには朝子を見ると逃げ出していたリスが、いまはすっかり慣れた。
四季の中で秋が一番美しいと朝子は思っている。森の色は日毎色濃く鮮やかになる。樹木が葉を落としてさみしくなると、カラマツが黄金色に色づく。
朝子は、この美しい季節をあまり好まない。長い冬が忍び足でやってくることにさみしくなるのだ。なにもかも雪の下になり、白一色の世界が遣る瀬ない。
花壇や畑が耕され、三度伸びた雑草が霜で真っ白に化粧している。ストーブの上で鉄瓶が音をたてる。答えの見つからない朝子の思いが、行ったり来たりする。
三日前、東京で暮らす誠の親友である田島実が、緑ヶ丘の朝子の家に訪ねてきた。誠がブータンに行ったことは知っていた。
「突然、電話もしないで来て、申し訳ありません」
玄関先で深々と頭を下げた。
「出張でこちらに来たものですから、寄らせていただきました」
 白髪はあるが豊かな髪のせいか、誠よりずいぶん若い感じがする。
「じつは、岡田のことで、朝子さんにお話したいことがあって来ました」
 誠の親友だけあって真面目そうな彼は、どう切り出そうか言葉を選んでいるようである。田島とは結婚式に一度会っただけで、ふたりきりで話をするのは初めてだった。お茶を出し、テーブルを挟んで向かい合うと目が合った。似ていると思った。物憂げに遠くを見る誠のまなざしを、久し振りに見た気がした。
 田島と誠は同じ大学で、苦学生時代を助け合って生きてきた。いわば同志である。そのころ、学生運動が大きな社会現象になっていた。ふたりは右翼とか左翼などまったく無関係だった。ふたりが通う大学は混乱を起こすような学校ではなかった。
 ある日、デモに参加しないかと仲間から誘われた。アルバイト賃がもらえると聞いて、軽い気持ちでデモに加わった。警察に捕まるとは考えもしなかった。
「もしかすると、捕まる役にさせられたのかもしれない」と田島は、悔しそうに言った。学生運動の話は一度も聞
いていなかった。
 誠と朝子が結婚した次の年、浅間山荘事件が起きた。テレビで中継され、生々しい現場の様子やリンチ事件が報道された。
「赤軍なんか、身勝手な人間の集まりでしかないのよ。社会悪よね」
そういう朝子に、誠は思いがけない強い口調で言った。
「普通の学生もいたんだよ。なにも知らないで行動してしまった人も、たくさんいたんだ」
「なんの思想もなく、デモに参加したり、学校に立てこもったりするのは、愚か者のすることなんじゃない」
 立てこもった校舎を破壊し、汚し続けたと聞いている朝子は、そうした人たちを理解できなかった。
 朝子は知らなかった。朝子が愚か者と言って傷つけた、誠の心を―― 。
 誠は心に汚点を残し、大学を中退して故郷に戻った。明るく聡明な朝子とめぐり合い、誠の心は癒えた。しかし、結婚して傷がさらに深くなった。誠は、朝子の言葉が悪夢であって欲しいと願った。
 田島は、自分のことを話すように朝子に語った。朝子は誠の心を傷つけたことより、傷ついたのを知らずにいたことに深く傷ついた。ことばは剣より深く、相手を傷つけるという。気づかずつけてしまう傷もある。それは罪なのだろうか。
 朝子の知らないところで誠は、田島になにを話したのだろう。帰っていく田島を見送る朝子の心は震えていた。
 田島の背中は、過去など引きずっていなかった。むしろ、自信に溢れた力強さがあった。
誠が帰ってくるまでに、気持ちの整理をしなければならない。膝をかかえ薪の炎を見ていると、六〇歳を目前にして海外に行った誠の気持ちがわかるような気がした。誠も田島のように、自信に満ちて帰ってくるのだろうか。
風が窓を叩く。くもの巣に隙間なく雪虫がかかり、残酷で美しい幾何模様が揺れている。冬の眠りに入った森に、風花が舞った。

風が踊る。優しく、激しく、春の香りを運んでくる。春一番が吹いて、北の大地が目を覚ます。
長い冬が終わった。雪が解けだした場所から順番に、草花の芽が顔を出す。誠がブータンに行って、早一年が過ぎた。
五月の大型連休が終わった次の土曜日、風花に仲間がやって来た。野菜の種を蒔いたり花壇の手入れをしたり、みんな汗を流しながら黙々と働いた。
「山の空気はおいしいねえ」
 田舎暮らしを知らない慶子は、大げさに深呼吸をした。
「おれは、山の暮らししか知らないからなあ」
 朝子を通して知り合った敏と慶子は、一緒に種芋を植えている。
「仕事終わったら、宴会だよ」
輝と謙一も、首に巻いたタオルで汗を拭いている。
三時を過ぎると急に風が冷たくなった。
大きなテーブルを居間の中央に置くと、それぞれが持ち寄った料理を並べ、ビールとワインで乾杯した。
「うーん、うまい」
 敏と謙一は、ビールをいっきに飲み干した。
「汗かいたから、冷えたビールは、サイコー」
 体調が回復した保子は、みんなにビールを注ぎながら、自分もおいしそうに飲んでいる。慶子と智子はワイングラスに少しだけ口をつけ、保子と学生のころの話を始めた。輝もソファに腰かけ、みんなの話を聞きながら時々うなずいている。
 ―― こんな日が来るなんて、考えもしなかった……。
朝子は、気取ることなく自然体で話せる、このにぎやかな時間を楽しんでいた。半年振りに顔を合わせる仲間もいて、話は尽きない。敏と謙一は時間にゆとりのある生活を送っているが、ほかはみな勤務している。風花のひと時が、生活の潤いとなっているようだ。
窓から見える西の空がオレンジ色に輝き出した。畑の奥にあるシラカバ林が、黄金色に染まった。ゆっくり闇が迫ってくる。
「まだ、宵の口だよ。もっとゆっくりしていけばいいしょ」
「主婦は、そういうわけにもいかないのよ。そこが、辛いとこなのよ。」
「わたしたちいないと、寂しいと思うけど、帰るわ」
 引き止める敏たちの声を残し、智子が運転する車で慶子と保子が帰って行った。やがて輝の妻が迎えに来て、夜は深まっていった。コップを片手に話の止まらない敏と謙一を置いて、朝子は居間を離れた。
―― 誠は元気にしているだろうか。
遠い国で暮らす夫を思った。一年後に帰る夫と、どう向き合おうか。過去の出来事を整理し、夫と対峙する自分を想像してみる。埋まらない溝はきっとない。話せなかった過去も笑って話せるだろう。
真夜中の天空には、夏の星座であること座やわし座、はくちょう座が輝いていた。星の数ほどいる人のなかで出逢い、一緒になったのだから、この先もきっとうまくやっていけるだろう。
下弦の月が、静かな夜の森を照らす。春の匂いを連れた風が、やわらかく丘を駆けた。


  紅葉便り・・・風を見た
Date: 2003-9
今度は夫と行って来ました。錦絵のような大雪の紅葉を見に!!
黒岳から北鎮岳の道は、タカネナナカマド、ウラシマツツジ、チングルマ、
エゾノマルバシモツケは真っ赤に染まり、 
それはさながら教会の結婚式のバージンロードのようで、 
神聖な気持ちで少し緊張しながら夫の後を歩いていました。
ハイマツの緑と赤く染まる前の黄色やオレンジ、そして残雪の白・・
夏のお花畑もいいけれど、秋の紅葉も色とりどりで決して負けてはいない。

山に登ると何時も感じる事があります。
山では風が見えるの。
生活の中では風は感じるけど見る事は無い。
山では風が大きな形で見える。
この事、行ってみたら分かると思うわ。

byしろうさぎ ここをクリックすると 写真が出ます。


  なきうさぎ
Date: 2003-9
桜前線は南から紅葉前線は北から始まります。今当地では紅葉が始まっています。
大雪の山に登ると、あたりのななかまどやウラシマツツジがその葉を赤く染めています。
ありとあらゆる木が色とりどりに染まり、一つとして同じ色が無い、
そんな秋の山は見事なまでに美しい!!
里の紅葉はちょっと怠けているけど、厳しい山のそれは嘘が無い、息を呑むような色です。
登った人にだけ与えられる山の愛です。

下山途中のニペソツ山でなんと3年も待った感動がありました。
それは  ジャーン なきうさぎ 
声はすれど姿は見えず ずーっとそんな存在でした。
そして今回、私達の前に現れたそのうさぎは1分ほど愛嬌を振りまいて、
小さな葉を一枚くわえて巣穴に入っていきました。
6人の仲間は 「かわいいー!」 と立ちすくんで、一秒でも私達の前にいてくれる事を願っていたのです。

byしろうさぎ


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